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宝塚歌劇Pocket

阪急電鉄株式会社 様

Research, Planning, Design, Development

2021 -

宝塚歌劇Pocket

100年の伝統ある劇団が、ファンとの
新しい関わり方に挑戦するプロジェクト。

宝塚歌劇は100年以上の歴史を持つ、日本を代表する劇団です。多くの熱心なファンに支えられ、それに応えるように時代に合わせたサービスの改善と発展に取り組み続けてきました。

「デジタルを通したファンとの新しい関わり方を一緒に考えたい」と相談をいただいたのも、その取り組みの一つです。宝塚歌劇は劇場のほかに、ウェブサイトの運営や動画・音楽の配信、グッズのオンライン販売などさまざまなサービスを提供しています。それらのサービスに簡単にアクセスできる窓口を作り、非日常空間である劇場だけではない、日常の中で触れることができる宝塚歌劇のあり方を共に模索することになりました。

フェンリルはサービスデザインのパートナーとしてプロジェクトに参画。サービスの企画から、制作、プロモーションまで一緒に並走しました。

相談されたこと
  • デジタルを活用した、ファンとの新しい関わり方を考えてほしい
  • 公式情報をわかりやすく伝えたい、探しやすくしたい
  • 宝塚歌劇のイメージを大切にしながら、幅広いお客様に使ってもらえるものにしたい

プロジェクトの内容

  • インタビュー調査を通してファンの行動を理解した上で方向性を検討
  • ファンが自分のペースで楽しめるポータルアプリを提案
  • 宝塚歌劇の華やかなイメージを大切にしつつ、ユーザー視点で設計

より広い楽しみ方にこたえるため、
ファンの声に耳を傾ける。

まずはユーザー理解のために、直接話を聞くことから始めました。宝塚歌劇を楽しんでいる、あるいは興味を持っている方を中心にインタビュー調査を実施し、どのような楽しみ方のスタイルがあるのか、どういったポイントで困難を感じるのかを整理・分析しました。

その結果、ファンによって楽しみ方は様々であり、ユーザーに合わせた情報提供のニーズが高いことが判明しました。情報選択の主導権をユーザー側が持てるようにすることで、興味のある情報へ気軽にアクセスできるようになり、宝塚歌劇をより身近で楽しんでもらえる可能性が見えてきたのです。

公式アプリが提供するのは、
「ファンが自分のペースで宝塚歌劇を楽しむ」
という、新しい体験。

ユーザー調査の結果をふまえ、フェンリルは自分のペースで宝塚歌劇を楽しめるポータルアプリを提案しました。公式情報をまとめて見られる。自分の好みに合わせて楽しめる。見やすくわかりやすい。そんな基本に忠実なポータルアプリを提供することで、宝塚歌劇より身近に感じる新しい関係性を作れるのではないかと考えました。

このアイディアをもとに、宝塚歌劇からは伝統ある劇団としての信念やファンへの熱い思いを、フェンリルからは専門家としての知見をぶつけ合いながらサービスを具現化していきます。そこでは機能やUIはもちろん、アプリが成長する仕組みも具体化の対象です。どの要素がどんな形でサービス成長に寄与するのかを、グロースサイクルやコンセプトダイアグラムで整理。それらをもとにKPIを設定し、計測用のタグをアプリに埋め込むことで、成長の検証と改善ができるように準備を進めました。

最終的にはスマホ上で触れるプロトタイプを作成し、コンセプトの受容性調査を実施。好意的な反応に手応えを感じた上で実開発へと歩を進めました。

宝塚歌劇へいつでも手軽につながる、
そんな体験を提供するために。

ユーザーにとってはアプリも劇場も同じ宝塚歌劇というサービスの一部です。そのため宝塚歌劇が築いてきた華やかで存在感があるイメージをアプリデザインに反映する工夫を施しています。

大劇場のシックな赤絨毯と輝くシャンデリアを思わせるレッドとゴールドを基調に、スターの写真や公演ビジュアルを大きく配置することで、まるで実際に劇場へ訪れたかのような世界観を演出しました。

膨大な情報をどのように伝えるかも重要な課題です。ユーザーがどのような流れでコンテンツを見ていくのかを考慮して画面の設計に反映しました。また、iOSとAndroidの両方でOSの標準的な作法やコンポーネントを活用して、できるだけ多くのユーザーが迷わず使い始められるように配慮しました。

プロジェクトの中で宝塚歌劇からは「幅広いお客様に楽しんでいただきたい」という要望を何度もいただきました。ビジュアル面にもユーザビリティ面でも、特定の方だけを向くのではなく、お客様全体に受け入れられることを常に議論しながらデザインに落とし込んでいます。

「宝塚歌劇Pocket」というネーミングは、フェンリルが方向性を提示し宝塚歌劇と一緒に考えた名前です。いつでもポケットの中にいるような存在でありたいという願いを込め、それに合わせたアプリアイコンとロゴタイプも制作しました。宝塚歌劇の華やかさと輝きを意識し、公式アプリならではのオフィシャル感を表現したものになっています。

劇場を中心にファンに広め、高い評価を獲得。
好調なスタートをこれからにつなげていく。

フェンリルはサービスデザインを「愛されるサービスを作り、広める活動」と定義しています。作るだけではなく、どう広めるのかを考えるのも大切です。特にストア評価はダウンロードの意思決定に大きく影響を与えると言われており、初速で良い評価を獲得することは重要なポイントです。

そこでアプリの価値を一番実感できるタイミング、つまり劇場に集中したプロモーション戦略を提案しました。情報ニーズが最も高まる観劇前後で使っていただくことで、量ではなく質の高い訴求を目指しました。

また今後のプロモーション施策につなげるために、各媒体にはQRコードを設置、効果測定ができる状態を整えました。結果としてリリース当初App Storeで4.6、Google Playで4.9と高い評価を獲得しました。ダウンロード数も当初の予想を上回る速度で伸びているので、この好調なスタートを今後のサービスの成長につなげたいと考えています。

クライアントからの声

今回のアプリ開発は私たちにとっても新しい挑戦でした。

お客様に宝塚歌劇をもっと楽しんでいただくために、デジタルでの体験や関わり方をフェンリルと徹底的に議論して作ったのがこのアプリです。ロゴやアイコン、プロモーションまで提案してもらいながら、細かい部分までこだわって制作したおかげで、宝塚歌劇らしいアプリを作れたかなと思っています。

まずは良いスタートを切れたので、これからもフェンリルと一緒により良いサービスに育てていきたいと考えています。

今後の展開

今回のプロジェクトでは、どんなサービスを作るのかからどう広めるのかまでを含めたサービスデザインパートナーとして宝塚歌劇に携わらせていただきました。今はまだコンセプト実現できる最小構成でリリースした段階であり、これからが本番です。構想中のアップデート開発や計測結果をもとにした改善のサイクルはもちろん、より広い領域で事業の成長に貢献できればと考えています。

Credit

Creative Direction :
Hiroki Nakanishi
Project Management :
Momoyo Tamagawa
Research :
Yasutaka Nakamura, Madoka Onishi
Planning :
Tsubasa Shibata
Art Direction :
Hiroki Nakanishi
Design :
Hiroki Nakanishi, Kako Sakashita, Aya Matsui, Yudai Kosaki
Development :
Yuta Ikeda, Fenrir
Naming & Writing :
Fenrir
Support :
Kazuma Yokoyama, Hitomi Miyauchi, Yuta Ogara